問題
3つの複素数
複素数平面の点をそれぞれ
0でない複素数zに対し、
z、wが表す複素数平面上の点をそれぞれ
(1)点Pが線分AB上を動くとき、点Qの描く曲線を複素数平面上に図示せよ。
(2)点Pが△ABCの3辺上を動くとき、点Qの描く曲線を複素数平面上に図示せよ。
3点A,B,Cは、直線で結ぶと正三角形になりますが
単位円周上にあって円を3等分している点でもありますね。
(1)
点Qの軌跡を求めるということなので、
点Qをグラフに使う文字でおくわけです。
通常のxy平面であればQ(x,y)とおきますが
複素数平面なので点Qを複素数wでおかれています。
で、この複素数wを実部a・虚部bに分けたおき方をするのか
絶対値rと偏角θを使う極形式でおくのか。
今、
という設定で1÷複素数の計算をするので極形式の方が楽です。
なので線分AB上にある点Pを極形式で
とおきます。
このときz≠0よりr>0、
また点A、点Bを極座標(r、θ)で表すと
これでwを求めると
これでwについて
となったわけですが、wの偏角がどの範囲で動くのかは想像がついても
w絶対値の方は点Pが点Aから点Bに移動する間に一定の割合では
変化しないので想像しにくく、点Qがどう動くかはわかりません。
やはりrとθの2変数だとわかりにくいので変数を1つにしましょう。
そこでrとθの関係式を考えていきます。
線分ABと実軸との交点をDとします。
点Pを線分AB上に適当に打ちます。
どこに打ってもPまでの距離をr、偏角をθとしているので
OP=r、∠POD=θは常に言えます。

ここで△OPDに注目すると
これを先ほどのwの式に代入して整理します。
第1項、第2項の部分を極形式で表すと
今
で、最後の+1がなければwは
原点が中心で半径1の円の
これに+1をするというのは実軸方向に1だけ平行移動するということなので
中心は複素数でいうと1+0iが表す点に移動します。
xy平面だと見て直交座標でいえば(1、0)
原点からの距離と偏角で表す極座標だと(1、0)
複素数平面上の点を表す複素数でいうと1
が表す点が中心で半径1の円の
が求める点Qの軌跡になります。

図の赤の実線部分が点Qの軌跡。
wによって点線の線分AB上の点が
この赤の実線に移されたことになります。
(2)
●点Pが線分AC上にあるとき
原点から線分ACに垂線OEを引くと
△OCEは30°、60°、90°の直角三角形だから
点Eの偏角は
線分AC上の適当なところに点Pを打つ。
この点Pを表す複素数zについて|z|=r、arg z=θとすると
z≠0よりr>0、

上の図のような位置に点Pを打つと
ここで△OPEに注目すると
上の図のように点Pが線分AE上にあるときは
で、点Pが線分EC上にあるときは
となり、偏角は正負が逆転するが
が成り立ち同じ式になるので場合分けは必要ない。
ということでいよいよwを求めていこう。
ここで積和の公式
を使うと
偏角の範囲を考える。
よって原点が中心で半径1の円の
x軸方向に
下の図の青の実線部分です。

wによって青の点線で描かれた線分AC上の点を
青の実線の曲線上に移動したことになります。
●点Pが線分BC上にあるとき
この点Pを表す複素数zについて|z|=r、arg z=θとすると
z≠0よりr>0、
したがってwは
偏角の範囲を考える。
よって原点が中心で半径1の円の
x軸方向に
下の図の緑の実線部分です。

wによって緑の点線で描かれた線分AC上の点を
緑の実線の曲線上に移動したことになります。
(1)の答えも合わせると
点Pが△ABCの3辺上を動くとき、点Qの描く曲線は
下の図の赤・青・緑の実線部分。

2014.9.19
数式と図を修正しました。