2014年09月13日

【数V】複素数平面と軌跡

やっくんさんから頂いた質問の問題です。

問題
3つの複素数の表す
複素数平面の点をそれぞれとする。
0でない複素数zに対し、によってwを定める。
z、wが表す複素数平面上の点をそれぞれとする。
(1)点Pが線分AB上を動くとき、点Qの描く曲線を複素数平面上に図示せよ。
(2)点Pが△ABCの3辺上を動くとき、点Qの描く曲線を複素数平面上に図示せよ。

3点A,B,Cは、直線で結ぶと正三角形になりますが
単位円周上にあって円を3等分している点でもありますね。

(1)
点Qの軌跡を求めるということなので、
点Qをグラフに使う文字でおくわけです。
通常のxy平面であればQ(x,y)とおきますが
複素数平面なので点Qを複素数wでおかれています。
で、この複素数wを実部a・虚部bに分けたおき方をするのか
絶対値rと偏角θを使う極形式でおくのか。
今、

 

という設定で1÷複素数の計算をするので極形式の方が楽です。
なので線分AB上にある点Pを極形式で

 

とおきます。
このときz≠0よりr>0、
また点A、点Bを極座標(r、θ)で表すと
なので
という範囲を持ちます。
これでwを求めると

 

これでwについて

 

となったわけですが、wの偏角がどの範囲で動くのかは想像がついても
w絶対値の方は点Pが点Aから点Bに移動する間に一定の割合では
変化しないので想像しにくく、点Qがどう動くかはわかりません。
やはりrとθの2変数だとわかりにくいので変数を1つにしましょう。
そこでrとθの関係式を考えていきます。

線分ABと実軸との交点をDとします。
点Pを線分AB上に適当に打ちます。
どこに打ってもPまでの距離をr、偏角をθとしているので
OP=r、∠POD=θは常に言えます。

comp2.jpg

ここで△OPDに注目すると

 

これを先ほどのwの式に代入して整理します。



第1項、第2項の部分を極形式で表すと



より

 

で、最後の+1がなければwは
原点が中心で半径1の円のからの部分を表します。
これに+1をするというのは実軸方向に1だけ平行移動するということなので
中心は複素数でいうと1+0iが表す点に移動します。
xy平面だと見て直交座標でいえば(1、0)
原点からの距離と偏角で表す極座標だと(1、0)
複素数平面上の点を表す複素数でいうと1
が表す点が中心で半径1の円のからの部分
が求める点Qの軌跡になります。

comp1.jpg
図の赤の実線部分が点Qの軌跡。

wによって点線の線分AB上の点が
この赤の実線に移されたことになります。




(2)
●点Pが線分AC上にあるとき
原点から線分ACに垂線OEを引くと
△OCEは30°、60°、90°の直角三角形だから
点Eの偏角はで、
である。

線分AC上の適当なところに点Pを打つ。
この点Pを表す複素数zについて|z|=r、arg z=θとすると
z≠0よりr>0、である。

comp3.jpg

上の図のような位置に点Pを打つと
である。
ここで△OPEに注目すると

 

上の図のように点Pが線分AE上にあるときは

 

で、点Pが線分EC上にあるときは

 

となり、偏角は正負が逆転するが

 

が成り立ち同じ式になるので場合分けは必要ない。
ということでいよいよwを求めていこう。



ここで積和の公式

 

 

を使うと



偏角の範囲を考える。

 

よって原点が中心で半径1の円のからの範囲のものを
x軸方向に、y軸方向にだけ平行移動したもの。
下の図の青の実線部分です。

comp4.jpg

wによって青の点線で描かれた線分AC上の点を
青の実線の曲線上に移動したことになります。



●点Pが線分BC上にあるとき
この点Pを表す複素数zについて|z|=r、arg z=θとすると
z≠0よりr>0、である。

 

したがってwは



偏角の範囲を考える。

 

よって原点が中心で半径1の円のからの範囲のものを
x軸方向に、y軸方向にだけ平行移動したもの。
下の図の緑の実線部分です。

comp5.jpg

wによって緑の点線で描かれた線分AC上の点を
緑の実線の曲線上に移動したことになります。



(1)の答えも合わせると
点Pが△ABCの3辺上を動くとき、点Qの描く曲線は
下の図の赤・青・緑の実線部分。

comp6.jpg




2014.9.19
数式と図を修正しました。
posted by ジュンジ at 15:28 | Comment(1) | TrackBack(0) | 数学V

2014年09月11日

【数U】グラフの通過領域

ゆーさんより質問いただきました
グラフの通過領域の問題です。

 
 mが実数全体を動くときの存在する範囲を求めよ。


問題文の解釈としてはmがある値のときの
のグラフ、つまり
中心が、半径の円が
通るところを集めたらどんな範囲になるか。
ということです。

適当にmを決めて、円をいくつか描いていくと
なんとなくこうなりそうだ
ということはわかりますが、
はっきりとこの範囲だというには
いささか説得力が足りませんし
mはすべての実数なのだから
無限個の円を描き切ることは無理です(^^;


そこで考え方を変えてみましょう。
mを決めて図形を確認するのではなく
逆にxy平面上の点を決めて、
それが等式の解になりうるかどうかを確認するのです。
xとyを決めてもmが等式に残ってしまいますが
そのmを調整して等式が成り立つことがあれば
その点(x,y)はグラフの通過点である
ということになります。
グラフや領域は方程式の解を集めたものですからね(^^)

ただこの方法でもxy平面上の点は無限個あるので
全ての点について等式が成り立つmがあるかどうかを
調べることはできませんが、
その辺はうまくできるようになっている
ものだろうと思って話を進めていきます(笑)


まずはやはり具体例で考えていきましょう。

例1 点(1,0)は円の通過領域かどうか。
これを考えるにはまずの式にx=1、y=0を代入します。

 x=1、y=0のとき

 

今のxとyの値で、この等式が成り立つかどうかは
この等式を成り立たせるmが存在するかどうか。
実際にこのmの二次方程式を解いてみましょう。

 

よってx=1、y=0のときはmがこの値のときに等式が成り立つ。
言い方を少し変えると
x=1、y=0のとき等式を成り立たせる実数mは存在するので
(1,0)はこの方程式の解となりうる。
つまりは点(1,0)はグラフの通過点である。

もう1つやってみましょう。

例1 点(1,2)は円の通過領域かどうか。

 x=1、y=2のとき

 

よってこのmの方程式の実数解はないことになります。
したがってx=1、y=2のとき等式を成り立たせる実数mは存在しないので
(1,2)はこの方程式の解となることはない。
つまりは点(1,2)はグラフの通過点ではない。

このようにx、yを指定して
等式を満たすmがあるかどうかで
その点が通過点かどうかを判断できます。
ここで大事なのはmがいくらでもかまわず
とにかく指定されたx、yに対して
等式が成り立つことがあればいいということです。
つまり先ほど作ったmの二次方程式でmを求める必要はなく
mが実数解を持てばよいというだけのことなので
判別式Dを考えて、
D≧0であれば指定された(x、y)は
通過点であると言えます。

そしてx、yの値の指定はなにも最初にする必要はなく
判別式にしてからでも構いません。
そこで最初にx、yを指定せずに
先にをmの二次方程式として見て、
判別式を立ててみましょう。

まずはをmについて降べきの順に整理。

 

これをmについての二次方程式として見て
その判別式Dを式にする。



ここでx、yを指定して、このDが0以上であれば
その点(x、y)は通過点であるということですが、
ここでもx、yを指定せず、このDが0以上になるという
条件を与えて、それを満たすx、yの関係式を作ります。



ここまで整理したら判断は簡単ですね。
x、yを掛けて1以上の点なら通過点です。

この不等式を満たすx、yが
通過点の集合でそれはもともと求めたかった
の存在する範囲
の領域を表す不等式に他ならないのです。
ということでこの不等式の左辺をyのみにして
グラフを描けば領域も図示できますが
両辺をxで割る計算が必要なので
xが正、0、負の場合に分けないといけません。

x>0のとき

 

よってx>0ではグラフの下側が通過点。


x=0のとき

 

よってx=0では全てのyが通過点。


x<0のとき

 

よってx<0ではグラフの上側が通過点。


あとは図示してもらえばいいのですが、
簡単に言っておくと
双曲線に挟まれたところ(境界線を含む)が
の存在範囲です(^^)
posted by ジュンジ at 01:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 数学U

2014年09月09日

【数B】直線のベクトル方程式の考え方

数Bのベクトル方程式で扱うのは
直線と円ですが今回は
直線のベクトル方程式について。


●直線のベクトル方程式
最初に
よくある勘違いが
表したい直線をベクトルの矢印そのもので考える
という間違い。
これは違います。気を付けてください。
ベクトル方程式で直線を表す時のイメージは
始点から伸びる無数のベクトルで直線を指します。
ベクトルの終点の集合で直線を描くイメージです。

vector1.jpg

つまりベクトル方程式とは
ベクトルの終点が描く軌跡
と考えると理解しやすいと思います。


では直線を決定するために必要な
「直線の傾き」「直線が通る点」
を考えていきましょう。

直線の傾きは右にいくら進んだら上にいくら進むか
つまりはxの増加量とyの増加量で決まってきますが
この2つ増加量を表すのが
方向ベクトルのx成分とy成分です。

直線が通る点は点Aとします。

表したい直線lを点Pの軌跡と考え
原点Oから点Pまで
点O⇒点A⇒点P
とベクトルで辿って行くと

 

と表せます。
下の図では点Aと3つの点Pがあり(t=1,t=2,t=-1のときのもの)
赤いベクトルで示してあるのが点Pまでの経路です。

vector2.jpg

ここで考え方としては
表したい直線lまでで移動して
直線lというレールに乗った後は
というベクトルが指す方向へ好きな距離だけ進む
といった感じです。
この「好きな距離だけ」というのを
を何倍かする」として考えます。
掛ける数は図の中にあるように1でも2でも-1でも
100でも−0.3でもでも
実数なら何でもいいので実数tを使って

 

と表します。よって点Pを表す

  (tは実数)

となります。

 
2点A、Bを通る直線は方向ベクトルが2点をつなぐ方向だと考えればOKです。
つまりは

 

とすればいいのです。
これでを整理すると

 

このようになります。
この式を見ると単純にこうも考えられますね。

 2点ABを通る直線は
 線分ABをt:1-tに内分・外分する点Pが描く軌跡
 (tは全実数)

tを0≦t≦1に限定するとtも1-tも常に0以上になり
点Pは内分しか表さないので直線ABではなく
線分ABを表すことになります。

posted by ジュンジ at 13:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 数学B

2014年09月02日

【数V】分母に2乗があるときの部分分数分解

やっくんさんより質問いただきました。
ありがとうございます(^^)

==========================================

部分分数分解について質問です。



とするように



としてはダメなのはなぜですか。



なんで(最後のは)2乗なんですか?

==========================================

これは疑問に思うところですよね。
僕も高校の時に思いました(^^;

まずは

■  ではダメな理由
ダメな理由から説明します。
実はよく見るとわかると思いますが

 

という右辺の第2項、第3項の

  と 

この2つは同類項なので次のようにまとめられてしまうのです。

 

B+C=B'としてまとめました。
ではこれだとどうなるのか。
xについての恒等式になるようにAとB'を求めてみましょう。
右辺を通分しつつ左辺の分母と同じ式にします。
そして分子を降べきの順にまとめて係数比較します。

 

係数比較すると

 

(1)より

 

これを(2)に代入。

 

よって

 

この時(3)も成り立たなくてはいけないので確認すると

 

よって(3)は成り立たない。
したがって

 

が成り立つA、B'は存在しない。


さてここで少し考えてみましょう。
今、なぜダメになってしまったのか。
それは係数比較したときの連立方程式で
(3)の式が成り立たなかったからなのだが
AとB'という文字2つに対して式3つなので
こういうことが起きてしまったのである。

文字が2つなのは自分でそう置いたので納得するとして
なぜ式は3つになってしまったのか。
それは両辺で分母を同じ式にするときのことを思い出そう。
左辺の分母は3次式であるのに対し、
右辺の分母は二つとも1次式である。
なのでこの1次式を左辺と同じ3次式にするために
2次式を分母・分子にかけたのだが
それによって分子は2次式になったのだ。
2次式ということは係数比較するときに
2次の係数、1次の係数、0次の係数(定数項)
の3つを比較するので、
連立方程式で式が3つになってしまったのである。

3つの式に対して文字が2つだと必ずしも
3つともが成り立つ解があるわけではない。
そこで文字も3つにすることを考える。





■  とする理由

左辺を右辺のように分解する方法を考える。
今のところ3項目はわかっていないとして

  と 

に続く3項目の分母を考えよう。
右辺を通分したとき、左辺の分母以上の因数を
持ってしまってはいけないので
左辺の分母の約数であることが最低条件である。
では左辺の分母

 

の1とこの式そのもの以外の約数は

  と  と  と 

の4種類である。
このうちx-2とx+1はすでに第1項、第2項で使っているので
先ほどのダメな理由からダメである。
では(x-2)(x+1)だとどうなるか。

 

ここで右辺はx+1で約分できることになり
左辺が既約分数であることに矛盾することになるので
やはりこの置き方もダメであることがわかる。

今の式変形は左辺の分母と同じになるようにやったが
普通に右辺だけを通分することを考えると
分母は最小公倍数である(x-2)(x+1)にすればよい。
そして左辺と同じにするために分母・分子にx+1をかける。
なので既約分数にならないのは当たり前。
このことから右辺を最小公倍数で通分した段階で
左辺と同じ分母になっていないといけないことになる。
つまり
右辺の分母の最小公倍数が左辺の分母になるように置く必要がある。
ということだ。

したがって先ほどあげた4種類の約数の4種類目の

 

ならOKになる。

   と  と  の最小公倍数は 

というのが理由の説明です。
一応最後まで分解しておきますね。



 

係数比較すると

 

これを解いて

 

よって

 

と分解できる。




分解後の分母の最小公倍数が分解前の分母に一致すればいい
ということから考えると他にも

 

とおいても分解できます。
これだとAとBの2文字ですが、右辺の分母は2つとも2次式なので
通分後の分子が1次式となるので文字は2つでちょうどなのです。
実際にこれで分解してみると

 

とできますが、どう分解するかは
分解後の目的によって選びましょう(^^;

分母が(x+1)(x+2)(x+3)の分数を(x+1)(x+2)と(x+2)(x+3)の分母を持つ
2つの分数の差に分けるのは数列の和を求めるときに使われます。
一方、x+1とx+2とx+3に分解するのは積分するのに適した分解ですね。
posted by ジュンジ at 15:38 | Comment(4) | TrackBack(0) | 数学V