この記事は以下の漸近線に関する3連続記事についての質問です。
1つ目の記事 【数V】分数関数の漸近線2つ目の記事 【数V】こんなグラフの漸近線3つ目の記事 【数V】ax+bという漸近線の求め方====================================================
はじめまして。高3受験生のしろきと申します。
丁度数Vの漸近線の部分が全く分からず、解説を読んでも分からず、最後の砦としてパソコンに頼るという経緯でこのサイトへ来ました。
文章でも分かりやすくて目から鱗の状態で漸近線の部分を読ませていただきました。
そこで一つ浮かんだ疑問なのですが、f(x)の式がlogの式だった場合には漸近線はどうなるのでしょうか?
真数条件があるのでxには範囲がある時もあるのではないかと思っております。
次数が一次以下でないと漸近線は無いということでしたが、logがその点においてどのような位置にあるのかが、恥ずかしながら理解しておりません。
ふと浮かんだ拙い質問でだらだらとした長文で失礼いたしました。
====================================================
はじめまして、しろきさん。
ブログを読んでいただきありがとうございます(^^)
log x にも x=0 という漸近線が存在しています
が、これは y=ax+b タイプではないので「まぁいいか」と思って
何も書きませんでした(^-^;
一言触れておくとよかったですね。
で、いろいろ考えて質問の返事を書き終わった今、
先に結論を言っておくと
#################################################
<質問に対する答え>
log f(x) は f(x) が指数関数でない場合、
0より大きく1未満の次数のようなものだが
その log f(x) の項が発散する場合は
y=ax+b タイプの漸近線はない
<y=ax+bタイプの漸近線があるとき>
y=f(x) の f(x) が1次式以下の場合
ただし必ずあるとは限らない
<y=ax+bタイプの漸近線の求め方>
@傾きを求める
}{x})
で出てくる値が傾きである。
またそれをaとする。
A切片を求める
@で求めたaを使い、
-ax\})
で出てくる値が切片bである。
この時、右側の漸近線はy=ax+bである。
左側の漸近線も同様に@Aを計算することで求まる。
ただし極限値がない場合は漸近線も存在しない
#################################################
今回しろきさんの質問によって最後の1行を加えさせていただきました。
よりよい方法に仕上がったことに感謝です!(^^)
ありがとうございます!!
それでは今回の考察は以下の通りです。
長いので大変ですが、時間と興味があれば読んでみて下さい。
もともとこの記事(
【数V】ax+bという漸近線の求め方)
で扱ったのはx^nの項の和・差・積・商で
できている関数であり、
指数関数、対数関数、三角関数、無理関数などは
対象外にしていました。
ということで今回しろきさんの質問をきっかけに
詳しく考えてみました。
あと調べたわけではないので個人的な意見ですが
対数関数には「○次式」という概念はないのかと思います。
もちろん
^2+\log{x}-2)
のようなものは「log x」に関しての二次式ではありますが、
「x」についてはなんとも言い難いのかと。
ただし次のようなことは言えると思います。

という関数があったとします。
定義域は0<x<∞です。
漸近線の基本に戻って、
この式でx→∞の時に無視できるところを考えてみましょう。
y=x のグラフと y=log x のグラフで比べると
y=log x の方が増加速度が遅く、 x が大きくなればなるほど
y=x との差は広がっていきます。
x も log x も x→∞ では ∞ になる関数ですが
x=∞ においては log x の値はxの値から見ると無視できる程度しかありません。
なので y=x+log x はy=xに漸近していくことになります。
(【注】これは後で間違いだとわかったのですが、近づいていくだけで漸近線にはなりません。つまりは無視できないということのようです)
また定義域左端の x→+0 では -∞ になるので x=0 という漸近線も持つことになります。
このように log x は1次式よりも増加速度が鈍いといった意味では
log x は1次式未満として扱えると思います。
そして

は x→∞ において0なので
log x の次数が0以下でないことも確かです。
もし次数が負なら、例えば

つまり

のように発散するはずだし、
次数が0なら 1/定数 なので0には収束しないはず。
したがって
y=ax+bタイプの漸近線を考える場合、
log x は0より大きく1未満の次数の項
として扱ってもいいと思います。
ちなみに対数関数以外にも
三角関数ではtanが同様に x=a タイプの漸近線を持ちます。
そして指数関数は y=a タイプの漸近線を持ちます。
指数関数の漸近線は y=ax+b タイプに含まれるので
これは記事の方法でも求めることができます。
また

という指数関数についても○次式という概念はないと思いますが、
指数に注目すれば
x→∞ のときは ∞次式、
x→-∞ のときは -∞次式
みたいなもんだと思います。
あくまでも「みたいな」です。
-∞次は1次以下なので左側だけ漸近線を持ち、
右側は直線に漸近することなく発散することになります。
結局、漸近線を考える上ではグラフの「次数」というより
「増加速度」がモノをいうということになるのかと思います。
そう考えれば

のような順になりますね。
そして tan x も考えるとこれがいちばん速く
たった π/2 で∞に発散することから
これらの中から増加関数だけを比較すると

という順になります。
まあ tan x は不連続関数なので
あまり y=ax+b タイプの漸近線を考えることもないかと思います。
ちなみに

などの

については

とできるので y=x より速く発散することはありません。
実際に

の増加速度を調べるために

として
微分すると

となり x=1 では y'=n なのでnの値によっては
y=x のグラフより増加速度は速いですが
x=∞ では y'=0 なので y=x のグラフより増加速度は遅くなります。
以上のことより、増加速度の比較はできたと言っていいと思いますが
トラブル発生です!(>_<)
少し思っていたのと違う結果になることも出てきました。
例えば
}+2x+1})
の漸近線を考えると
まずは真数条件を考え
^2+\frac{3}{4}& > 0
\end{align*})
これは常に成り立つので
定義域は全実数。
logの式は0より大きく1未満の次数なので
無視できる部分であり、
無視できない部分の2x+1が漸近線である
と予想できますが機械的にやると
@傾きを求める
}{x})
より
}+2x+1}{x}=2)
次にトラブルが発生します
A切片を求める
@で求めたaを使い、
-ax\})
より
}+2x+1-2x\}=\infty)
これが問題です。
切片が∞になってはグラフが描けません!
原因は0より大きく1未満の次数として扱っているlogの項です。
この部分は∞に発散します。
いくら1次の項を消したからといって
この部分が残っていてはやはり発散してしまいます。
この問題はlogでなくても1/2次式の

でも発生します。
さらにsin xがあっても発散(振動)するので
同様の問題が発生します。
しかし漸近線の定義を思い出してみると
漸近線について書いた最初の記事である
【数V】分数関数の漸近線にも書いたように
-(ax+b)\})
ならば y=ax+b は漸近線
とあります。
つまり今回、最初の段階では y=2x+1 が漸近線と予想しましたが
}+2x+1-(2x+1)\}\neq0)
より y=2x+1 は漸近線ではないということになります。
つまり式を整理した時に0より大きく1未満の次数の項があると
漸近線はないということになります。
またそのときAでのlimの計算は発散し、
極限値を持たないということになります。
極限値がないのであれば当然切片もなく、
切片がないのならば直線つまりは漸近線は存在しない
ということになります。
ちなみにlogが

のようにlogが発散しない場合はAの極限値が存在するので
漸近線も存在します。
【まとめ】y=ax+bタイプの漸近線の求め方
@傾きを求める
}{x})
で出てくる値が傾きである。
またそれをaとする。
A切片を求める
@で求めたaを使い、
-ax\})
で出てくる値が切片bである。
この時、右側の漸近線は y=ax+b である。
左側の漸近線も同様に@Aを計算することで求まる。
ただし極限値がない場合は漸近線も存在しない